SOPP2016 

 

2016年5月15日

「Symphony of Peace Prayers 世界平和交響曲 〜宗教・宗派を超えて、共に世界の平和を祈る」

 “壮大なビジョンを支える運動は、実は小さな一歩の積み重ねを大事にする以外の何ものでもありません”——これは、西園寺由佳会長代理が「Symphony of Peace Prayers 世界平和交響曲」の閉会挨拶で述べた言葉。今やインターネット中継を通してグローバルにつながり、世界数十ヵ国で祈りの会が同時開催されるまでに発展したSOPPも、一歩目を踏み出した2005年当初は、富士聖地でのみ開催の小規模な催しだった。

 今回は、ワールドワイドに広がりつづけるSOPPと、その原点への感謝の思いが双方向に響き合った5月15日・富士聖地SОPPの模様をレポートしたい。



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 「宗教・宗派を超えて、共に世界の平和を祈る」をサブタイトルに毎年開催されるSOPPの特色を一つ挙げるとしたら、宗教者のリードに合わせて参加者がさまざまな宗教・宗派の平和の祈りを共に祈ることだろう。異なる宗教や文化、信条や背景があっても、私たちは平和を祈る心、神聖なる精神でつながることが出来る。その体験を分かち合えるSOPPは、実際に行事に参加した海外の方が自らの体験をモデルに自国のフィールドでも開催する形で世界に大きく広がり、2013年2月にはニューヨークの国連本部総会議場で行なわれたインターフェイス式典のメインイベントにSOPPが取り入れられた。

 その原点を大切にしながら、母体となる富士聖地のSOPP自体も成長しつづけている。平和を祈る心、神聖なる精神でつながる人々のネットワークをより強く結びつける要素の受け皿となっているのだ。それが昨年の「富士宣言の発足式」であり、夜のデンマーク・クロンボー城と早朝の日本をインターネットでつないだ「イースト・ウエスト・セレブレーション」を同時開催するなど、今までにない試みも幾つか盛り込まれた。(http://fujideclaration.org/ja/東西をむすぶ記念祝典-―日の出の富士山と日の入/

 そうした富士宣言の流れを受けて、今年もまた新たな要素が加わることに。それは富士宣言の目指す「多様でありながらワンネスの世界」を実現させるためのネットワーク「ソウル・オブ・ウィメン(SOW)神聖なる女性性の復活」のお披露目である。この日も世界中のたくさんの方がインターネットを通じて行事に参加した。(http://fujideclaration.org/ja/soulofwomen/

 


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 富士聖地のSOPPでも、SOWの謳う「神聖なる女性性」を参加者に深く感じていただこうと、行事開会前の聖地の一角に「ソウル・オブ・ウィメン グローバル キャンペーン コーナー」が出展。受付で配られるSOPPブックレットの裏面にカラフルなマジックペンで「神聖なる女性性と聞いて思い浮かぶ言葉」を書きこんだ参加者は、ブックレットを手にポラロイドカメラで撮影会。

 

 

 小さな写真を一枚一枚展示ボードに貼りつけてゆくと、笑顔と言葉のコラージュ作品がみるみる出来上ってゆく。行事開始前の時間を使ったちょっとした企画だったが、和気あいあいとした温かなムードが漂い、また自分の中の“神聖なる女性性”のイメージを見つめることは、行事に参加する上で感性を高める契機にもなったそう。


 午前10時15分。森の中から小鳥のさえずりが聞こえる中、雄大な音楽が人々の間を流れてゆく。約7000人を擁する野外会場に響くのは、開会を告げるファンファーレだ。

 納谷理事長の挨拶が始まった。今年の舞台は、屋根のない聖壇にやさしい桃色のバックパネルが配されたシンプルな趣。そのまま青空へと続いている舞台はいつにも増して自然体かつ開放的で、空を伝って世界中とつながっている感覚が増してゆく。

 

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 次に、西園寺昌美会長が挨拶を述べた。会長は、「SOPPは現在では、世界中で100ヵ国、600地域以上で同時開催されるイベントにまで発展してゆき、富士聖地で2005年にはじまったSOPPはついには世界各国各地を巻き込み、大きなムーブメントにまで発展し、2013年には国連本部総会議場でもSOPPを行なうという画期的な一歩を踏み出せました。このような奇跡的な発展を成し遂げたのはすべて、ここにおられる皆様方をはじめインターネットでつながっている皆様、そして既に他界された先輩の方々の強い信念の結集であります」と述べた後、SОPPを支えてくださった方々のお名前をご紹介。海外から駆けつけ、SOPPで自らの宗教の祈りを披露してくださった方、海外でSОPPを開催してくださった方……さまざまな名前がコールされ、世界同時配信のインターネット中継では、それぞれの人物や会場の写真も同時に映し出された。万感の思いを乗せて響きわたる声に、参加者も温かな表情で耳を傾けている。

 

 

 会長挨拶が終わると、袴に身を包んだ白光真宏会・宇宙子科学研究員のメンバーによる扇子の舞と人類即神也の印が披露され、各宗教の平和の祈りが始まった。今年はイスラム教スーフィズム、キリスト教カトリック、ユダヤ教、神道、仏教、シーク教、ヒンズー教、そして白光真宏会の8組の祈りが披露され、参加者もチャントと呼ばれる各宗教の短い祈りを共に唱える。各宗教の衣装や祈りの所作、発声は美しく荘厳で、そのすべてが平和の祈りでつながっていることが胸にしみてくる。「多様でありながらワンネス」という富士宣言のメッセージが、SOPPでは宗教を通して常に体現されてきたのだと実感。


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 祈りによって一体感が深まったところで、いよいよソウル・オブ・ウィメン「神聖なる女性性の復活」のプログラムが始まった。

 この世界を構成する女性と男性、その一人一人の中にも神聖なる女性性と男性性が備わっている。それらのバランスが取れ、調和して初めて、私たち自身の本来の精神の力が最大限に発揮される。そうした世界の実現のため共に立ち上がろう、というのがソウル・オブ・ウィメンのコンセプトであり、この5月15日に向けて世界100ヵ国以上の方(もちろん女性に限らず男性も)が「神聖なる女性性の復活に向けて、私は立ち上がります」という意志表明をしてくださったという。

 SOPPの2日前には、各国から招待された有識者によるソウル・オブ・ウィメン会議が東京で開催された。神聖なる女性性の復活に向けてそれぞれの見識と叡智が持ち寄られ、会議は濃く充実したものになったという。SOPPでは会議に出席した10名が舞台に立ち、各人が一言ずつ挨拶を述べられた。


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 そして、SOWの出席者のお一人、ジェームス・トワイマン氏が「グローバル・メディテーション」と演奏を披露。この日は自身の幅広いネットワークを生かし、世界各地で大勢の方が共に瞑想する機会を作ってくださった。西園寺会長のリードで、世界中の共鳴者たちと静謐なるひびきを共にする。しばらくしてウクレレをつま弾きはじめたトワイマン氏は、自然な流れで自身の作詞作曲による「May Peace Prevail on Earth」の弾き語りを。そして「みんな輝くディバイン・スパーク」を即興のアレンジで、英語だけではなく日本語でも歌い、最後に参加者も氏と一緒に英語と日本語で歌った。


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トワイマン氏は著述家・音楽家としてイラクやシリア国境など世界各地の紛争地に赴き、何百万人もの人々と祈りを共にしてこられたという。

 

 和やかなムードのまま来賓の紹介があり、そして来賓挨拶として、長年SОPPを支持する漫画家・美内すずえ氏のメッセージが紹介された(代読は西園寺会長)。この日は急用のため出席はかなわなかったが、美内氏はSОPPの参加者に自分の気持ちを届けたいと、母性愛を感じさせる女性像に「世界人類が平和でありますように」という言葉が添えられた絵はがきを参加者一人一人に贈ってくださった。

 そして、世界各国語による世界各国の平和の祈りが始まった。世界中の国旗が明るく流麗な調べにのって、会場を縦に貫く6本の通路に現われると、風を受けてカラフルにたなびきながら参加者の間を次々と行き過ぎ、舞台を目指す。


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 舞台上で各国の祈りがスタート。司会が一国ずつ国名をコールするたびに、舞台中央で国旗が凛と掲げられ、参加者はその国の言語で「○○国が平和でありますように」と祈り言葉を唱える。さらには会場のあちらこちらに、国旗をプリントしたカードを掲げる方々の姿が(今年は参加者全員に、世界中の国旗カードがランダムに配られていた)。こうして誰もがいずれかの国を担当して国旗を掲げ、祈りを捧げてゆき、193ヵ国と「その他のすべての地域」の平和を祈る。そして最後に全員で「May Peace Prevail on Earth」と唱えながら、一斉に国旗カードを天に向けて掲げた。会場を埋め尽くすカラフルな国旗が陽光にきらめく光景は、圧巻ながらも平和そのもので、世界のあらゆる色が融け合う湖面が突如祈りのフィールドに出現したかのよう。 


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 その後、大地、山、海……地球世界のさまざまな事象に対する感謝の祈りが参加者全員により捧げられた。宗教、女性性と男性性、国、そして自然すべて……と意識があらゆる境界線を越えて拡大していたことを実感できるひとときだ。

最後に、西園寺由佳会長代理が閉会挨拶を行なった。
 「70億人の人類の平和を望むためにはたった一人の存在の中に真理が、神性の光が点されることに感動すること。このように五井先生の時代から、小さな平和の種を、これが必ずいつか花咲くと信じ、世界中に蒔きつづけてまいりました。それが私たちの魂の喜びで、人生のミッションで、生まれてきたこの命を最大限に生かすことだと分かっているから。何の反応も結果も、その瞬間は見えなくとも、一つ一つの種を大事に大切に蒔き、未来を信じて何十年と祈りが捧げられてきました。
 でも数十年経った今、この混沌とした、不安と恐怖が渦巻くこの時代の中で、世界中の人々がつながりはじめ、共に平和の祈りを捧げ、人類の神性を信じ、さまざまな方法で手を取り合ってお祈りを捧げていることに、本当に感謝が溢れるばかりです。
 会長は、今こそ女性性の復活が必要だと強く申しております。それは人類が、地球が、動植物が、大いなる癒しを必要としているからです。そして戦いつづけてきた多くの宗教が、民族が、争い合ってきた多くの国々が、地域が、差別、虐殺に苦しんできた多くの人類が、歴史が赦しを必要としているのです。これらに真の赦しと癒しを届けられた時に、人々の固定概念や偏見が溶けてゆくのです。氷のように固まってしまった一人一人の固定概念や偏見を溶かすのは女性性の持つ癒しと赦しと愛の力なのです。」


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共に祈ることで生まれた暖かい癒し、まさに女性性のエネルギーが充ち満ちる会場に、再び国旗入場の音楽が流れ始めた。先ほど舞台の奥に吸い込まれていった国旗が華やかに登場、舞台の階段を次々と流れるように降りて、会場の中に入ってゆく。やがて舞台に登場したアースフラッグの動きに合わせて、会場の国旗もゆっくりと旋回し、音楽のクライマックスに合わせてすべての国旗が高々と掲げられた。

 

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  こうして第12回SOPPは感謝に包まれながら、そして新たな希望とともに幕を下ろしたのだった。
 同時に、新たなスタートを切ったソウル・オブ・ウィメンの今後の展開も目が離せない。キャンペーンを通して出来た賛同者のオンライン・コミュニティを通じて、5月15日以降も情報共有の場やさまざまなプログラムが提供される予定である。この情報は、順次ホームページにアップされるので、ぜひチェックしていただきたい。

http://fujideclaration.org/ja/soulofwomen/

このセレモニーの模様は、YouTubeのアーカイブ配信でご覧いただけます。
https://www.youtube.com/c/symphonyofpeaceprayers

※ SOPPは“会場参加型”の行事となっており、舞台とご来場の皆様が一体となり、お祈りや合唱等をしていただくシーンがございます。

プログラム2016
各宗教・宗派の平和の祈り
ソウル・オブ・ウィメン「神聖なる女性性の復活」
ジェームス・トワイマン氏による演奏(2曲)
世界各国語による世界各国の平和の祈り
地球生命への感謝
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